社長コラム

社長コラム 2017

第56回(4月19日)『日本初の遺伝子改変増殖型ウイルスの企業治験開始』

桜の開花も程遠い3月半ば、春先にしては珍しい雷雨降りしきる中、テロメライシンの食道がんPhaseⅠ臨床試験の治験届をPMDA(医薬品医療機器総合機構)に提出してきました。そして先週4月12日に正式に日本国内での治験開始の許可が出ました。

PMDAに治験の事前相談をかけたのが2015年7月、遺伝子組み換え生物等の規制に関する届け出(カルタヘナ申請)を提出したのが2016年5月。思えば随分時間がかかってしまいました。どうしてこんなに時間を費やしてしまったのか、我々にも原因は分かりませんが、今回の治験届は、国産の遺伝子改変増殖型ウイルスの企業治験としては初めてのもので、外国産の遺伝子改変ウイルスを含めても2件目になると思います。それだけに、厚生労働省としても審査に力が入ったのではないかとも推察されます。

しかしながら、当社ではすでにアメリカ合衆国のFDA(食品医薬品局)に治験届(IND)を出し、ウイルスの製造、有効性試験、毒性試験、ウイルス分布試験などの詳細に関して承認を得たのちにアメリカでのPhaseⅠ試験を実施してきました。アメリカ合衆国はカルタヘナ議定書に批准していないために、治験審査もスムーズであり、ウイルスの投与も「外来受診」で行われるなど、日本の現状とは大きな開きがありました。その後も、韓国・台湾での肝臓がんを対象としたPhaseⅠ試験や、アメリカでの皮膚がん(メラノーマ)を対象としたPhaseⅡ試験の治験届に対してもFDAより実施の許可を得ています。当然、毎年FDAには年次報告(Annual Report)を提出し、試験の進捗やウイルスの品質や安定性の情報を報告しています。

このような状況にもかかわらず、日本での治験申請とその許可までこれほど時間がかかってしまいました。現在、岡山大学と国立がんセンター東病院で治験倫理委員会などの手続きが開始されています。遺伝子改変増殖型ウイルスの取り扱いに関しても各病院で詳細な対応が開始されています。今後、私たちはこの規制の壁を乗り越えて、迅速に治験を完了させてゆきたいと思います。

第55回(1月1日)『新年のご挨拶』

新年あけましておめでとうございます。
皆様にとりましても、輝かしい2017年の始まりになっておられますことを心よりお喜び申し上げます。

昨年は我が国経済も、アメリカの大統領選挙、イギリスのEU離脱国民投票、フランス・ベルギーなどの度重なるテロ事件など海外の不確定要素に大きく左右されました。また、国内では大隅教授のノーベル医学生理学賞受賞など明るい話題もありましたが、熊本地震などの天災に加えて、東京五輪や豊洲移転問題など人災が相次いで発生しました。

このような状況の中、当社の2016年度の経営は「我慢」という状況に明け暮れてきました。各パイプラインにおいては、いくつもの研究開発の進捗がありましたが、新しい結果を得るにはもう少し時間が必要で、更なる前進が必要となってきています。またビジネスにおきましては、テロメライシンの中国企業Hengrui社へのライセンスは完了しましたが、それ以外のパイプラインは未だライセンスには至っていません。本年は、これまでの「我慢」が着実に「結果」に繋がるよう最善を尽くしたいと考えています。

まず医薬品事業におきましては、当社の主力パイプラインであるテロメライシンは「がんの局所療法」という概念を振り払い、新たに「がんのウイルス療法」として、転移がんを含めた全身治療に寄与する治療法としての開発を展開してゆきたいと考えています。アメリカではメラノーマ(皮膚がん)に対するPhase II臨床試験がいよいよ開始されます。また日本国内においても食道がんに対するPhase I試験が開始され、アジア地域におきましても肝臓がんに対するPhase I/II試験が続けられます。

検査事業におきましては、新たな検査プラットホームを立ち上げ、検査の効率化を図り、様々な癌のCTC(血液循環癌細胞)検査の臨床的意義を明らかにしてゆきたいと思います。また昨年より開始された(株)DNAチップ研究所との共同研究を進め、前立腺がん治療薬のコンパニオン診断技術の立ち上げを目指します。

2017年は、これら研究開発を更に進めていく一方、社内人財の育成を図るとともに経常的Cash Flowの創出を進めるべく、経営の舵取りを進めてまいります。また、その結果として、開発の進展による医薬品ライセンス契約の締結により、近い将来には単年黒字を実現すべく、全社で努力を続けてまいります。

いい薬を創る。私たちは、一つひとつの新薬開発が難病治療の進歩への確かな足跡となることを目指し、その開発にこれからも取り組んでまいります。

本年も、どうぞ倍旧のご指導、ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

2017年 元旦

代表取締役社長 浦田泰生

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