社長コラム

第127回(12月19日)『OBP-301承認申請の見通しについて』

株主の皆様

 2024年もいよいよ年の瀬を迎え、皆様も多忙を極めていらっしゃることと存じます。今年はアメリカ大統領選挙があり、またトランプ氏が来年から政権を握ることになりました。日本の首相も変わり、同時にEUも首脳交代となる国が出てきて、2025年の世界を予測することが難しくなってきました。

 さて、皆様とお約束をしてまいりましたOBP-301の承認申請ですが、残念ながら年内の申請は実現できなくなりました。現在、PMDAと臨床、非臨床、CMC各分野で「事前相談」が行われており、来年の上半期に順次「先駆け総合評価」段階に入ることとなりました。それからおよそ半年間の審査が行われ、その後承認申請となります。特に「先駆け総合評価」では、これまで行われてきた数々の臨床試験のみならず、市販後における臨床試験計画の詳細な内容を含めて審査されることとなりました。

 このように事前相談が長引き、更に市販後の臨床試験の詳細まで審査されるに至った背景には、今年の6月にバイオ業界を驚かせたいくつかのネガティブなニュースが相次いだことが原因の一つだと考えています。まずはサンバイオ社の細胞医薬「アクーゴ脳内移植用注」が条件及び期限付き承認を受けたにもかかわらず、当面出荷が許可されないという事態です。これは、再生医療等製品の品質に関してPMDAはかなり厳しい評価をしている証拠です。

 さらに、アンジェス社は条件及び期限付き承認を取得していた「コラテジェン」の承認申請を取り下げることになり、また同様にテルモ社が条件及び期限付き承認を取得していた再生医療等製品「ハートシート」の正式承認が得られないことになり販売を終了したことです。これらは、市販後調査において承認時の有効性が再検証できなかった、という点が問題となりました。

 このような状況ではありますが、OBP-301のPMDAによる審査は確実に前進しており、食道がんPhase 2臨床試験に参画頂いた多くの臨床医からも強い支持と激励の言葉を頂いています。OBP-301の承認は来年以降になりますが、当社はPMDAと正面から向き合い、確実に医薬品として許可が下りるよう、万全を尽くして参ります。今後も当社へのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

2024年12月19日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生