社長コラム

社長コラム 2021

第103回(4月15日)『株主の皆様へ』

昨日,中外製薬よりテロメライシンの承認申請時期を「2024年以降」にするという報告を受け,皆様にご報告をいたしました。中外製薬の開示規定によると,仮に2024年1月が申請時期であったとしても「2024年以降」というカテゴリーに分類されるため,このような報告になっています。

申請時期遅延の原因としては,USAで行われているテロメライシンのGMP製造並びにそのプロセスバリデーションが遅れていることがあげられています。現在,欧米のバイオ製造企業の多くは,コロナウイルスワクチン製造にかなり多くのリソースが割かれているという現状があります。特にウイルスベクターを使ったワクチン製造は,当社のテロメライシン製造と競合してしまい,どうしてもワクチン優先になってしまいます。そのために,当社のための製造スケジュールが自由に選択できず,常に後手後手に回ってしまっています。さらに,製造スタッフも経験豊かで優秀な人材が必ずしも割り当てられていないのではないかと感じています。今後は,セカンドサプライヤーとの契約を行い,可能な限り,これまでの製造面での遅れを取り戻してゆきたいと考えています。
一方で,臨床試験の組み入れも遅れています。これは世界中の製薬企業の治験がコロナウイルスの感染拡大によって大きな影響を受けています。中外製薬は日本国内の10を超える治験施設で活発に臨床試験を推進し,施設への直接訪問もままならない中でも,中間的な研究検討会を開催するなどの多大な努力を続けてきました。しかし,残念ながら昨年は医療現場のスタッフがコロナウイルス感染症のケアに大きく割かれたために,食道がん患者様の治験への組入れが大きく遅れる結果となってしまいました。しかし,直近の報告では,今年に入ってから症例の組み入れが増えてきたとの報告を受けており,今後改善されるものと考えています。

昨日,中外製薬のシニアマネージメントとの話し合いがありました。テロメライシン開発には様々な困難はありますが,現段階でネガティブな状況ではなく,日本で最初のアデノウイルス製剤を世に出してゆこうという気持ちは両社で一致しています。この遅れを,両社の協力体制のもとに最大限の努力を重ねて可能な限り申請時期を前倒ししてゆくことをお互いに確認できました。

どうぞ,この状況をご理解いただきますよう宜しくお願い申し上げます。

2021年4月15日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第102回(4月9日)『株主の皆様へ』

先日,ステージ4の膵臓がん患者様とご面会する機会がありました。ご存知のように,膵臓がんは早期発見が極めて困難で,多くの場合,発見された段階で他臓器に転移が認められるステージ3または4と診断されてしまいます。日本膵臓学会の統計では,ステージ3では24%,ステージ4aで11%、ステージ4bで3%という数字が出ており,非常に予後の悪いがんであると言えるでしょう。

さて,ご本人はというと,すでに複数回の抗がん剤治療を経験しておられ,診断後すでに1年が経過しており,一見お元気そうに見えましたが,肝臓への転移などが見つかり,がんマーカーも再上昇してきたとのことでした。お話の中で特に印象的であったのは,初期の抗癌剤治療(化学療法)では,ある程度の効果が認められたものの,手足のしびれや脱毛,更には足が何倍にも腫れあがってしまうという,とても苦しい治療に耐えてこられたということでした。

ご本人は,テロメライシンや第二世代のOBP-702による治療を強く希望されました。しかし,膵臓がんに対する臨床上のエビデンスがまだ不十分であり,さらには薬機法の問題などからお断りせざるを得ませんでした。私は薬剤師ではありますが,医師ではないため,がん患者様の治療に直接携わることはできませんが,非常に大きな無力感に苛まれました。

がん治療の世界は日進月歩,この10年でも数多くの新しいがん治療薬が世に出てきました。特に肺がん,前立腺がんや乳がん領域においては非常に有効な治療薬が承認され,がんが治る時代の到来を感じました。それでも,先日お会いした患者様のように,膵臓がんや肝臓がんと言った非常に治療が困難ながんも確実に存在しているのは事実なのです。

我々オンコリスバイオファーマにできることは,1日も早く「がんのウイルス療法」を世に出して,少しでも多くの患者様に副作用の少ないがん治療の選択肢をご提供できるようにすることだと,あらためて肝に銘じました。

2021年4月9日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第101回(3月26日)『株主の皆様へ』

昨日は花曇りの中,当社第17回定時株主総会を無事終えることが出来ました。株主の皆様には厚くお礼申し上げます。コロナウイルス感染が続いています折にも,合計45名の株主様に当日ご出席を賜ることができ,感謝の念に堪えません。提出しました4つの議案はすべて承認され,新しい取締役体制のもと,今後も企業価値向上に努めて参りたいと心を新たにしています。

株主総会に引き続き行われました事業説明会にも,ほとんどの株主様にお残り頂きました。長時間にわたる説明をお聞きいただき,数々の貴重なご意見を賜ることが出来ました。テロメライシンの商業用GMP製造に関わる中外製薬との交渉,テロメスキャンの商業化への道程,OBP-601の開発展開をはじめ,黒字化への展望など数多くの質疑が行われました。新たにパイプラインに加わりました新型コロナウイルス治療薬OBP-2011につきましても,最新情報を含め時間をかけて説明させていただきました。私たちの経営課題は,株主様にとりましても同じ課題であることを,改めて認識させていただきました。

事業説明会の模様は,後日ホームページに掲載し,種々ご事情によりご出席かなわなかった株主様にもお伝えしたいと思います。

今後ともオンコリスバイオファーマに対するご指導,ご支援を賜りますよう,宜しくお願い申し上げます。

2021年3月26日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第100回(3月19日)『株主の皆様へ』

今年も都内の桜が咲き始め,2年目のコロナ禍の中でも,確実に春がやってきました。3月18日には弊社17周年を迎えることができ,これもひとえに皆様のご支援の賜物と心に銘じております。また,このコラムも100回を迎えるとのことで,遅筆な私も「継続は力なり」という言葉を実感しています。

ご承知の通り,弊社では3月25日の株主総会に向けて準備を着々と進めています。新型コロナ対策も可能な限り万全を尽くしてゆきたいと考えております。昨今の株価低迷に関しましては,株主の皆様に大変ご迷惑とご心配をおかけしております。可能な限り良いニュースを皆様にお伝えできるよう心掛けて参ります。

さて,先日ニューヨークのコーネル大学からテロメライシンの胃がんに対するPhase 2 の中間結果が送られてきました。少数例での評価ではありますが,テロメライシン投与による明らかな効果が認められ,ステージ4の末期患者がチェックポイント阻害剤単独投与では効果が出なかったにもかかわらず,テロメライシンを併用して大きく状態が改善し,1年以上生存している症例の報告がありました。今後も臨床施設を増やしてこの医師主導臨床試験を続けてゆくことを担当医から伺いました。詳細は株主総会で報告させていただきます。

新型コロナ治療薬OBP-2011については,GMP製造会社との契約をひかえ,増々前臨床試験が加速されてきました。次世代テロメライシンOBP-702につきましては,3月16日の日経新聞にも取り上げられました通り,岡山大学ではすい臓がんの臨床試験開始に向けて準備が進められ,アメリカでは多くの臨床家の評価を調査しています。テロメスキャンにつきましても,AIを使ったがん細胞検査プラットホームの確立に向けて,順天堂大学での共同研究が加速されます。また,トランスポゾン社に導出しているセンサブジン(OBP-601)も様々な神経難病に対する臨床試験に先立つFDAとの会議も終え,いよいよ臨床試験の準備が整い始めたとの報告を受けました。

このようないいニュースばかりではなく,昨年来のコロナ禍での臨床試験の遅れや,テロメライシン製造のセカンドサプライヤー選定の難航など,いくつかの課題もあります。

これら詳細につきましては,株主総会にて皆様に詳細をお伝えしてまいります。
新型コロナウイルスに対する緊急事態宣言が解除される見通しですが、ご来場頂く場合はどうかお気をつけください。

どうぞ宜しくお願い申し上げます。

2021年3月19日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第99回(3月4日)『株主総会の議決権行使のお願い』

株主の皆様へ

1都3県の緊急事態宣言は2週間延長される見通しですが,皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか?

さて,来る3月25日に執り行われます第17回定時株主総会の招集通知を発送させて頂きました。例年であれば,株主の皆様のご来場を心よりお待ちしていますが、本年は,極力書面またはインターネットによる事前の議決権行使をお願い致します。

今回の株主総会では,発送しました案内にございますように,ご承認頂きたい決議事項が4つございます。

  1. 取締役5名の選任です。創業者の私は続投して,テロメライシンの価値拡大,新型コロナウイルス感染症治療薬や次世代テロメライシンOBP-702の開発進展など,オンコリスの企業価値をさらに大きくしてゆきたいと考えています。新任取締役には,井上淳也氏を業務管理担当としてノミネートしました。前職から優れた管理能力と海外での業務能力を発揮しており,より活力のある取締役会にしてゆきたいと考えています。また,社外取締役である浦野氏は,東証一部上場企業の元社長として培われた知見を活かし取締役会で積極的に意見を述べており,継続してその任にあたります。
  2. 定款の一部を変更し,取締役の任期を2年から1年に短縮したいと考えています。この変更は,株主の皆様から取締役への信任機会を増やすと共に,取締役の経営責任を明らかにすることを目的にしています。私を含めた個々の取締役によい緊張感をもたらし,オンコリスの企業価値の拡大に繋げたいと考えています。
  3. 監査役3名の選任です。オンコリスの監査役会は、「会計」・「医薬品の開発~上市」・「法務」の異なる専門領域を持つ3名の監査役により構成され,多様な視点を基に「私を含めた取締役の職務の執行」を監査します。なお、大木氏と永塚氏は、社外監査役に就任する見通しです。
  4. 最後に補欠監査役1名の選任です。株主の皆様もご存じのとおり,監査役会は法令の定めにより,常に3名以上である必要があり,なおかつ,その過半数は社外監査役で構成される必要があります。次回の監査役の任期である2025年3月までの間に不測の事態が生じても,オンコリスを適法に運営するため,補欠の社外監査役のご選任をお願いするものです。

つきましては,株主の皆様にお願いがございます。株主総会で議案の審議を行うには,33.4%以上の株主の方に「議決権行使書の返送、又はインターネットの利用により、株主総会前日までに議決権を行使頂く」または「当日株主総会の会場にご来場頂く」のどちらかを行って頂く必要がございます。本年は,新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、極力書面またはインターネットによる事前の議決権行使をお願い致します。何卒,くれぐれも宜しくお願い申し上げます。
なお,株主総会終了後には短い休憩を挟みまして,例年通り,事業説明会を開催する予定です。但し,今後の状況変化次第では,株主総会の日時・会場や事業説明会の開催有無などを変更させて頂く可能性がございます。これらのご案内は,当社ホームページを通じて皆様に案内差し上げます。

株主総会や総会後の事業説明会は,株主の皆様からご意見や𠮟咤激励を頂戴する機会であり,私も株主の皆様からのご発言に対して直接回答差し上げることを,毎年楽しみにしています。
しかしながら,本年は大変残念ではございますが、極力書面またはインターネットによる事前の議決権行使をお願い致したく存じます。

寒暖差も大きく,季節の変わり目でもあります。どうか皆様もご健康には十分ご留意されますよう,こころよりお祈り申し上げます。

2021年3月4日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第98回(2月25日)『株主の皆様へ』

新型コロナ感染による緊急事態宣言もあと2週間というところで,関西地区や中部地区から早めの解除が始まりそうです。都内ももう一息のところまで来ています。もう少しの間頑張りましょう。

さて,昨年のパイプラインの進捗の中で,OBP-702の状況についてお話いたします。OBP-702は当社ではテロメライシン(suratadenoturev)に次ぐ第2世代の腫瘍溶解ウイルスとして設計されています。従来のテロメライシンの腫瘍溶解作用に加え,私たちの体の細胞にもある「がん抑制遺伝子」の中で最も強いと言われている「p53」という遺伝子を導入し,テロメライシンよりも強力な殺細胞効果とがん免疫誘導を実現させようというウイルスです。OBP-702は,がんのウイルス療法に遺伝子治療をハイブリッドさせたウイルスです。

現在,岡山大学でその作用を解析しており,テロメライシンよりも10-30倍強力な作用を示すことが示唆され,膵臓がんやサルコーマ(肉腫)に対して有効性が示されつつあります。一方で,GMP製造にはいろいろ苦労しています。テロメライシンもOBP-702も同じアデノウイルスですが,抗腫瘍効果はそれぞれ異なるため,製造条件やプロセスに微妙な差が出てきており,プロセス構築に時間をかけています。探索的な毒性試験や生体内分布試験はすでに終了していますが,年内には本格的な毒性試験を完了させ,2022年度中の治験申請に向かいたいと考えています。

OBP-601(Censavudine)は昨年6月に米国のトランスポゾン社にライセンスし,これまでの考えとは異なったメカニズムにより,神経難病(ALSなど)をターゲットとして開発チームが組成されています。さらにトランスポゾン社は十分な資金調達も終え,FDAとのPre-IND会議も行われ,順調なスタートが切られたようです。今年中に神経難病を対象として臨床試験が開始される予定だと聞かされています。

1か月後に株主総会を行います。新型コロナの拡大はまだ十分に収まってはいない状況で,皆様のご来場は出来る限りご遠慮いただき,極力書面またはインターネットによる事前の議決権行使をお願い致します。

三寒四温の季節柄,株主の皆様におかれましてはくれぐれもご自愛ください。

2021年2月25日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第97回(2月19日)『株主の皆様へ』

前回はテロメライシンに関する2020年度の達成に関して報告差し上げました。その後,WHOからテロメライシンの国際一般名称が正式に決定され「suratadenoturev」という日本人には読みにくい名前になりました。今後はこの名前が正式なテロメライシンの呼び名となり,学会や論文などではテロメライシンという商標は使われなくなります。

さて,今回は新型コロナウイルス治療薬プロジェクトに関してお話します。2020年6月に鹿児島大学から本件に関する特許を譲渡され,これまで化合物の最適化を行ってきました。昨年にはOBP-2001という化合物を選択し,注射剤として開発し,先行品であるレムデシビル(ギリアド社)との併用効果を期待するという発表をしました。しかしその後,さらに活性の強い化合物が複数合成されてきました。これらの化合物に関して,探索的な毒性試験や経口吸収性などを検討した結果,OBP-2011という化合物が見いだされました。1日1~2回の経口投与で強い抗ウイルス効果を示す可能性があることが示唆されています。

新型コロナ感染症は,新しいメカニズムのワクチンが複数緊急承認され,先行きに光が差してきたように思えます。しかしながら,すでに「イギリス型」や「南アフリカ型」などの突然変異ウイルスが世界各地で分離され,それらは既存のワクチンでは完全には克服できない可能性があると考えられています。また,日本人はワクチンに対する抵抗感が強く,集団免疫が獲得されるには高いハードルがありそうです。おそらく,来年以降も世界各地で新型コロナウイルスSARS CoV-2のクラスターが発生することになるのではないかと考えています。

この世界的な状況を鑑みて,当社の新型コロナウイルス治療薬を「軽症から中等症」のコロナ感染症患者に適応させ,できれば「無症状のPCR陽性患者」に対しても投与可能することで,コロナウイルスの感染の根元を叩けるのではないかと考えています。すでに,ギリアド社ではレムデシビルを吸入剤として開発されており,それ以外にもMSDやRocheなどが経口投与の治療薬開発を開始しています。しかし,当社のOBP-2011をはじめとする後継化合物は,それらの化合物とはメカニズムが異なると考えており,将来は併用投与も可能になると期待しています。

臨床試験での効果確認は2022年になりますが,まだまだマーケットのチャンスはあり,再びマスクをしなくても楽しく会合ができる世の中が来るよう,最善の努力を続けてゆきたいと考えています。

次回はOBP-702やOBP-601のお話をします。

2021年2月19日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第96回(2月17日)『株主の皆様へ』

2020年度の決算が固まり,先週発表させて頂きました。昨年度はOBP-601の米国トランスポゾン社への導出が決まり,テロメライシンの食道がんに対するオーファンドラッグ指定が成され,また新型コロナ治療薬に関する特許を鹿児島大学から譲渡してもらうなどの達成があり,売上高314百万円,経常損失は1,723百万円となりました。また研究開発費等は1,050百万円となりました。詳細は2月12日に発表しました『2020年12月期 決算短信』をご覧ください。

さて,研究開発の進捗に関してご報告させていただきます。内容が多いので,これから数回に分けて報告させていただきます。

まず,テロメライシンですが,現在国内4本,米国4本,合計8本の臨床試験が実施されています。残念ながら,やはり新型コロナウイルスの影響で,2020年は全ての臨床試験において遅れが認められました。当社が米国で進めています胃がんPhase2試験ですが,目標18例中昨年12月までに9例の投与が行われ,その中間報告がありました。すべてステージ4の重症の胃がん・胃食道接合部がん患者が組み入れられ,ペムブロリズマブが併用されました。このうち1例がPR,1例がSDとなっています。PRの症例については現在も存命であり,またテロメライシンを投与した局所のがんについても縮小が認められています。担当であるコーネル大学シャー医師は,ある程度の手ごたえがあると判断し,今後も症例の組み入れを続けると発言しました。また,米国ではテロメライシンの食道がん治療がオーファン指定を受けていることもあり,今後は,食道がんに対するコホートを設けて進めて行く予定です。

更に米国では,放射線化学療法併用による食道がんPhase1試験と,放射線療法+ペムブロリズマブ併用による頭頸部がんPhase2試験が計画され,すでに治験開始準備が整っています。

また,台湾・韓国で進められてきた肝臓がんPhase1試験については,昨年最終報告がまとめられ,学会で発表を計画しています。テロメライシンの肝臓がん組織への直接注射が,合計20例に行われ,主な副作用は中等度以上のかぜ様症状が6例に認められました。局所へのレスポンスは3例に認められ,最大25%の腫瘍組織縮小が認められました。このデータをもとに,中外製薬では日本国内においてアテゾリズマブ+ベバシズマブ併用の肝臓がんPhase1試験をすでに開始しています。

国立がん研究センター東病院と岡山大学で実施されている食道がんを中心としたペムブロリズマブ併用によるPhase1試験(EPOC-015)は,やはり症例組み入れが滞り,目標13例中10例の組み入れで留まっています。しかし,テロメライシンの食道がん局所への効果は明らかであり,残り3例の組み入れを急いでいます。

これらの試験以外に日本国内の開発進捗に関しては中外製薬様が主導しており,放射線療法併用の食道がんPhase2試験は2023年以降の承認申請を目指して進められており,更に上記の肝臓がんPhase1試験以外にも,化学放射線療法を併用した食道がんPhase1試験やアテゾリズマブ+化学放射線療法併用による頭頸部がんPhase1試験が計画されています。

次回は新規コロナ治療薬に関して報告いたします。

2021年2月17日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第95回(1月18日)『株主の皆様へ』

第一三共が口唇ヘルペスの原因となるウイルスを遺伝子改変して,日本で初めての腫瘍溶解ウイルスG47Δ(DS-1647)の脳腫瘍に対する承認申請を発表しました。承認されれば,日本初のがんのウイルス療法の実用化になります。ターゲットにしているがん種や,ベースにしたウイルスは,当社のテロメライシンと異なりますが,同じがんのウイルス療法を開拓する仲間として,応援しています。

さて,先日資金調達の趣旨を報告させていただきましたが,当社は2020年12月に資金調達の発表と同時に,愛知県瀬戸市にある朝日インテック株式会社と資本・業務提携を行いました。朝日インテック社は心臓カテーテルやそのガイドワイヤーを開発・製造・販売してきた東証1部上場企業で,近年大きく成長を遂げてきた会社です。

 

当社は,皆様もご存知のように,アデノウイルスを遺伝子改変したがんのウイルス療法「テロメライシン」を食道がんに応用してきましたが,その際,現場担当の医師から「テロメライシン」を注射する際にいくつもの課題があると言われていました。

まず,1つの腫瘍の色々な場所に注射したくてもアングルを変えられず,注射したい場所に打てない可能性があります。次に,注射部位1か所あたり一定量以上を,複数個所に注射するという,やや難しいテクニックが必要とされます。更に,既存のカテーテルを使った時には注射が終わった後でも,貴重な「テロメライシン」がカテーテルの管の中に残り,それが使われずに廃棄されてしまいます。

我々はこのような医療現場の課題を解決するために,あしかけ5年の間このようなデバイス開発のパートナーを探してきましたが,到達の難しい患部へのアクセスを可能とするガイドワイヤー・カテーテル技術を持つ朝日インテック社と出会うことができ,これらの課題を解決できる糸口が見つかってきました。

これは,将来商品化された「テロメライシン」の現場での利便性が高くなるだけではなく,第二世代のOBP-702にも応用が可能ではないかと考えています。

当社はアデノウイルスによるがんのウイルス療法を世界で先導し,より良い医療を皆様のもとに届けられるよう,朝日インテック社と共に開発を推進してゆきたいと考えています。

2021年1月18日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

第94回(1月4日)『株主の皆様へ』

新年明けましておめでとうございます。世界のコロナ感染は依然治まることなく,再びの緊急事態宣言が検討される中で2021年を迎えることになりました。英国や南アフリカでは新たな変異ウイルスが拡散するなど,増々状況が混沌として参りました。この1年がどのような世界になるのか,だれも予想つかない状況です。

さて,昨年12月10日の増資発表を行って以来,皆様への情報発信が出来なかったことにつきまして,まずお詫び申し上げなければなりません。
皆様既にご存知のことと思いますが,1億円以上の増資を行う場合には「企業内容等の開示に関する内閣府令」の規定に基づき,関東財務局に有価証券届出書を提出する義務があり,そこに記載した内容以外の情報発信により市場に影響を与える可能性が懸念されたため,当社弁護士からのアドバイスに基づいて,第三者割当増資の払込み完了まで私からのコラムなどの発信が叶いませんでした。このような状況をどうぞご理解いただきたく存じます。

今回の増資には以下のような状況が発生したために,数多の検討を行ったうえでやむを得ず実行に至りました。
 1.テロメライシンのGMP製造および品質試験バリデーションに対する追加の資金
 2.OBP-702の前臨床試験およびGMP製造を加速推進するための資金
 3.OBP-2001およびその後継化合物の前臨床試験とGMP製造を加速推進するための資金

まずテロメライシンですが,日本国内では中外製薬が食道がんPhase2臨床試験を進行しています。一方アメリカでは,当社が実施している医師主導治験は残念ながら大幅に遅れています。これはあくまで臨床現場のひっ迫した状況によるものであり,テロメライシン自体の問題によるものではないと認識しています。しかしながら,中外製薬としては2022年以降の日本国内の承認申請に向けて,着々と作業は続けられています。なかでも商業用ウイルス製剤に向けた製法開発には想定以上の資金がかかることが判明し,ウイルス製法開発に対する当社の負担が大きく増加することになりました。

OBP-702については,現在前臨床試験と治験薬のGMP製造が進行しており,2022年初頭の治験申請(IND)を目論んでおり,遅滞なく計画を遂行してゆきたいと考えています。その後に行われる臨床試験は現段階でチェックポイント阻害剤との併用を初期の段階から実施する予定であり,この治験にも然るべき資金が必要となってきます。

OBP-2001およびその後継化合物については,今年上半期にはひとつの化合物に絞り込んで,開発をフルスピードで行ってゆくつもりです。すでにOBP-2001の活性を大きく上回る化合物が見出されており,それらの化合物が経口投与でも効果が出ると判断された場合には,直ちに化合物を切り替えて開発して行く予定です。既に欧米では何種類ものコロナワクチンが緊急承認され,医療従事者やハイリスクな人たちに投与が開始されています。それでもなお,世界がこのコロナ禍から解放されるにはまだ何年もかかると言われています。当社の化合物が,インフルエンザの治療薬と同じように,近所のクリニックでも処方できる世の中が来なければ,世界はコロナ前の世界に容易には戻れないと考えています。

2021年がすでに始まり,世界は様々なやり方でこのコロナ禍と戦っています。当社も様々な問題を抱えながらも,今年は大きな成果が出せるよう,役職員一同最善の努力を払ってゆくつもりです。どうぞ皆様,本年もご指導のほど,よろしくお願い申し上げます。

2021年1月4日
オンコリスバイオファーマ株式会社
代表取締役社長 浦田泰生

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